乳がんを経験したからこそ、伝えたい。
近年、女性の11人にひとりがかかると言われている病気"乳がん"。
誰もが患う可能性があることから、この度"乳がん早期発見"をよびかけようということから、新しいプロジェクトとして〈Happy Smale ピンクリボン チャリティー フラ コンサート〉を開催することにいたしました。このプロジェクトの提案及び推進をするのはフラダンサーであり乳がん克服者である関野紀代子。彼女からのメッセージをここでお伝えしたいと思います。
これからお伝えする内容の一部は彼女が2016年4月下旬に乳がん治療を終え、また同じく乳がんを克服し、2015年春に音楽活動に復帰したハワイアンシンガーのKaoluさんと初対面を果たした時に記録したものです。(こちらの対談は、2016年に行われたものです。)
自身が乳がんを患ったことがプロジェクトを推進するそもそものきっかけとなった。
紀代子さん:
乳腺科が設置されているクリニックを開業する医師が友人におり、“エコーを一度取りに来てみては?”と誘われたのが始まり。毎年、マンモグラフィーは受けていたこともあって、エコーを受けるにあたり、抵抗はなく軽い気持ちで受診してみたそう。第1子を出産した際に乳腺炎にかかったことがある彼女は胸にしこりを感じたことがあっても、乳腺炎の影響だと思っていたが、この時の医師だけは乳腺炎の影響だという“思い込み”診断ではなく、細胞検査を行うことを進めてくれました。
Kaoluさん:
町医者で超音波検査をやってくれているところに半年ごとに通っていて、4月に行ったときはなんともなかったが、半年後の10月に行った際、気になる部分が見つかったのがきっかけだそう。そして、すぐに大きな病院で精密検査を受けるよう勧められ、超音波の検査を受けた週にそのまま精密検査を受けることになり、翌週には腫瘍が悪性と診断されました。
関野 紀代子さん (左)プロフィール:18年前にフラに出会い、ハラウ・オ・カ・マヌ・フラ・レアのインストラクターを務める。現在はハーラウから離れ、子育てと主婦業に専念しながら、当コンサートの実行委員長を務める。
Kaoluさん(右)プロフィール:ハワイとその文化を愛するシンガー。2006年よりハワイアンシンガーとしての活動をスタート。自らのユニットKAOLUA、Matsumoto Shave Ice Band、Kaolu&EbAk、などさまざまなセッションやバンドで活躍中。ライブ、ホーイケ演奏、ショーなど出演多数。CD「 KAOLUA 」by KAOLUA、「ララバイズ」by Kaolu & EbAk、発売中。
紀代子さんとKaoluさん2人が口を揃えて言う…
「乳がんは早く見つければ、見つかるだけ、治療の選択肢も増えます。ということは助かる確率がすごく高いのです。マンモグラフィー経験者が“痛い”と表現することが多いことから、それを聞いた未経験者は“マンモグラフィー=痛い”という考えが先行してしまい、なかなか検診に行かないと聞きます。もっと気軽にいける心構えがあれば、万が一のためになるのに… 少しの痛みや恐怖心よりもまず安心をもらいに検診に行ってほしいと願います。マンモグラフィーだけでなく、痛みがないエコー診断方法もあるもんですよ!」
早期発見の大切さ
「早期発見が出来たから、私は全摘出手術後の治療がありませんでした。もし検診に行っていなければ、未だにきっと病気に気づかずステージに立って踊っていたと思います」と語る紀代子さん。
しこりが出来た場所や大きさによって、ガン細胞の型によっての温存可否が違ってくるだけでなく、その治療の経緯もまた異なる。まさに、乳がんは十人十色であり、だからこそ“早期発見”が大切であるという。
同じ乳がんでも多種多様
「大きな自覚症状がある人はそんなにいません。胸を触診して、自己診断をすることも大切であるものの、検診を受け、医師の手に掛かって欲しい。早く見つかれば、治療が早く終わるだけでなく、治療の選択肢も多いです。自分を大切にすることは家族が喜ぶこと。健康だからこそ、自分や家族のために検診に行ってほしい…」と話す2人。
ひと言で“乳がん”といっても“様々なタイプ”があり、2人の状況も両極端といっていいほどタイプも治療も違うことがわかる。そして、患者一人一人が違う体験を、それぞれ違う思いで過ごしてきていることは間違いない。
久保クリニック 故 久保秋夫前院長
パターンは違えど、どれも同じ“乳がん”。どのパターンになるかわからない。だからこそ受診する必要がある。そして、多様な治療法があるということは、ガンの中でももっとも研究が進められている分野だということもあり、例え乳がんと診断されたといしても、細分化された治療を受けることができる。そして今とても注目されている胸を再建する手術も乳房を失った女性が喜ぶ希望の形成外科手術として日本でも重視されつつあるのです。
自分が苦しんでいることを周りには言えなかった。
“乳がんになったとしても、恐れることはない”ということをみんなに伝えたいという気持ちで術後すぐにフラへ復帰したが、乳房の再建手術の失敗によって2ヶ月後また片胸を失い皮膚移植が必要になった紀代子さん。
そして、抗がん剤治療の副作用でロングヘアを失うのは辛いことではあったが、人生初のベリーショートヘアを保ちながらおしゃれを楽しみ、自分のペースで音楽活動を再開、会いたい人には会い、やりたいことはやるようにし、病後を新しい人生と考えて与えられた日々を大切に過ごすようになったKaoluさん。
2人が口を揃えて言ったことは、“乳がんを患ったことですでに心配をしてくれている家族や友人には自分が苦しんでいることは口に出しては言えなかった”そうだ。患者に対してどう向き合えばいいのか悩む人も多いと思うが、患者もまたそれ以上の心配はかけたくないという思いから、一人抱えることがあると言えよう。だが、その気持ちをどう処理するかは本人たち次第ということなのか、紀代子さんはこう続ける…
“病は気から”-心を整えることで、人生が変わる
「病気になったこと、再建が失敗したことを責めても、それについて泣いても、心は穏やかにはなりませんでした。だから、“仕方がない…”と自分の運命を受け入れることが幸せな心になれる一歩だと思い、自分のつらい出来事を受け入れ受け止めることが自分をハッピースマイルにしてくれる薬であって“病は気から”という言葉は本当に人生を変えてくれたと思います。身体と心はつながっていると思うから…。
一歩前に進む=楽しむ人生につながると思うし、さらに自分も家族も幸せになれると信じて過ごしています。」
私を支えてくれたフラシスター、ハワイアンミュージックとフラの大切さ
「私は38歳で宣告、39歳で手術を受けてから3年。私にはずっと支えてくれたフラシスター、家族、友人がいます。6000羽の折り鶴で願ってくれたフラシスター。フラを踊ると笑顔になり、フラを観ると感動し、涙と笑顔をもらい、ハワイアンミュージックを聞いては心が癒されました。乳がんになりみんなに支えてもらい、元気になり、幸せを感じられるようになりました。その感謝を表すにはどうしたらいいか・・・何ができるのか・・・と考えました。フラが大好きな私が出来ることはフラ、ハワイアンミュージックには人を癒す力があることをたくさんの人に知ってもらい、感じてもらいたい。そして、多くの女性に自分の経験を話し、乳がんを知ってもらいたい。イベントを通じてご家族やお友達のステージを観に来た男性の皆さんにも乳がんを知ってもらい、自分の愛する家族や友人に検診を進めて欲しい。乳がんになっても恐れることはなく、早期発見及び早期治療ができれば、今までと変わらない生活が送れます。早期発見できるのは自分の足で検診を受けてもらうことなんです。気楽に、気軽に是非検診に行ってみてくださいね。」
ハッピースマイル ピンクリボン チャリティー フラ & タヒチアン コンサート
〈ハッピースマイル ピンクリボン チャリティー フラ & タヒチアン コンサート〉は、彼女自身が乳がんにかかった際に感じた周りへの“感謝の気持ち”を伝え、乳がんに対する認識を広めたいということから始まった。それと共に彼女の人生においてフラやハワイアンミュージックがもたらした癒しのパワーがどれほど素晴らしいものかを、コンサートを行うことでご来場くださる方々、応援して下さる方々などより多くの方に感じて欲しいという。皆がハッピーになり、スマイルでいられるようにという願いを込めて…
嬉しいことに、このイベントを支持してくださるハラウから参加及び出演のお申し出をいただいていたり、ハワイアンゲストを含む、ハワイアンミュージック界からはアーティストが続々と出演を快諾してくれていたりするこのコンサート。フラシスター、フラブラザー、そしてOHANAの皆さんと是非このイベントにご参加いただき、癒され、心温まるイベントになるよう一緒に盛り上げていただきたい。更に多くの方々にご来場いただいて、観ていただいて、みんなで次に繋げていけるようなイベントになることを目標としています。